X308 JOURNAL

X308  ·  GRADES & VALUE

グレードの肖像

XJ8からデイムラーまで。新車695万円のエグゼクティブが、いまいくらで買えるか。

読みもの·約6分·クルマ好きならなお楽しめます

ひとくちにX308と言っても、ベースのXJ8から、王室御用達のデイムラーまで、性格はずいぶん幅があります。同じ顔をしていても、中身と格は別物。その階段を見ていきます。

THE GRADE LADDER

グレードの階段

海外での骨格は、ベースのXJ8、スポーティなSport、長尺ボディも選べる最上級ラグジュアリーのSovereign、過給で370psのXJR、そして別格のデイムラー(Eight/Super V8)という構成。SovereignとDaimler系だけが、後席の広いロングホイールベースを選べました。

日本での構成は、時期で動きました。1997年の導入時は XJ8 が最廉価で、その上に エグゼクティブ、さらに ソブリンXJR と続く並び。ところが2000年にXJ8が廃止され、それ以降はエグゼクティブがラインナップの標準(最廉価)グレードになりました。同じ「エグゼクティブ」でも、前期は中間、後期は標準へと、立ち位置そのものが変わっています。のちにソブリンの3.2やスポーツ系も加わりました。

X308のリアに付く「XJ EXECUTIVE」のバッジ
リアの「XJ EXECUTIVE」バッジ。

下の表は、導入期(1997〜2000年頃)に日本で売られた主なグレードと新車価格です。この頃はまだXJ8が最廉価で、エグゼクティブはその上にいました。

グレードエンジン当時の新車価格(税抜)
XJ8 3.2-V83.2L V8622万円
XJエグゼクティブ 3.2-V83.2L V8695万円
XJエグゼクティブ 4.0-V84.0L V8795万円
ソブリン 4.0-V84.0L V8955–1,010万円
XJR 4.0 スーパーチャージド4.0L V8 SC1,060–1,110万円

※価格は導入期(1997〜2000年頃)のもの。2000年10月以降は改定され(エグゼクティブ3.2=710万円ほか)、XJ8が消えてエグゼクティブが最廉価グレードになりました。出典:Motor-Fan・カーセンサーのカタログデータ。

THE RIVALS

並べられた相手

登場した1997年、X308の正面の相手はメルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズ(E38)、そしてレクサスLSでした。当時の日本メディアの試乗記には「ハイテクを前面に押し出しすぎたBMW7シリーズより、うまく仕上がっている」という評価も見られます。インテリアの作り込みではドイツ勢に一歩譲るものの、乗り心地と英国流の優雅さでは譲らない、という立ち位置でした。

ただ、時代の波は速いものでした。1999年にSクラスがフルモデルチェンジ(W220)、2001年にはBMWが新世代の7シリーズを投入し、X308のデザインは急に旧世代に見え始めます。そして2002年、生産終了。商品としては時代に追い越された格好でした。けれど前のページにも書いたとおり、「最後まで鉄で、オリジナルXJの美学を守った」ことが、いまでは逆に評価されています。追い越されたはずの古さが、年を経て効いてくる——面白いものです。

創業者の100年を、
最後のスチールXJで祝う。

XJR 100  ·  LIMITED 500

500台のXJR 100

X308の最後に、特別な一台が用意されました。2002年、ジャガー創業者ウィリアム・ライオンズ卿の生誕100周年を記念した限定車「XJR 100」。世界で500台のみ。外装はアンスラサイト(黒に近いグレー)一色、内装はチャコールレザーにレッドのコントラストステッチ、ウッドは木目の細かいバーズアイメープル。BBS製19インチホイールとブレンボのブレーキ、MOMOのシフトノブとステアリングが奢られた、最も尖ったX308です。

創業者の100年を、最後のスチールXJで祝う。X308という車のキャラクターを思うと、これ以上ふさわしい締めくくりはなかったのかもしれません。500台という数の少なさもあって、いまでは独立したコレクターズアイテムになりつつあります。

THE MARKET NOW

いまのX308

では、いま買おうとするといくらか。日本の中古市場では流通台数が極めて少なく、ある時点で全国に数台ということも珍しくありません。価格はXJ8やエグゼクティブで概ね150万〜220万円台、希少なXJRは280万円前後が目安です(時期で変動します)。英国では一般的なXJ8が£3,000〜£8,000、状態の良いXJRは£10,000〜£20,000超まで上がってきています。

注目すべきは流れの向きです。ドイツではヤングタイマー(ネオクラシック)として再評価が進み、専門サイトが追う相場はほぼ右肩上がり。「明日のクラシック」として、静かに値を戻している車種です。海外には JEC(Jaguar Enthusiasts’ Club)をはじめ大きなオーナーズクラブやフォーラムがあり、情報も部品も、英語圏にはまだ厚い蓄積があります。

安く買えて、しかしただ安いだけではない。理解して付き合えば値落ちしにくく、海外の相場はすでに上を向きはじめている。

SPECIFICATIONS

主要スペック

共通諸元
全長×全幅×全高5,025 × 1,800 × 1,360mm
ホイールベース2,870mm
エンジン水冷V型8気筒 DOHC 32バルブ(AJ-V8)
トランスミッションZF製 5速AT(5HP24/NAモデル)
駆動方式FR
タイヤ225/60ZR16
グレードによる違い | エグゼクティブ
項目3.2-V84.0-V8
排気量3,252cc3,996cc
最高出力243ps / 6,350rpm294ps / 6,100rpm
最大トルク32.2kg・m40.0kg・m
車両重量1,710kg1,720kg

中古車サイトによっては「4速AT」と表記されることがありますが、NAモデルのZF 5HP24は5速ATです。出典:Motor-Fan・カーセンサー。